自然共生型アウトドアパーク

自然共生型アウトドアパーク

2006年にスタートした”フォレストアドベンチャー”(以下FA)は、2020年には全国34施設に拡がった。

フランス発祥、日本初

FAが現在各地で増えているジップラインなどのアウトドアパークのマーケットを開拓したことは間違いない。と思う。きっかけはフランス、アルタス社との出会いからだった。10年以上経った現在もフランスと日本を行き来し、良い関係が継続してる。分厚い契約書もなく、その都度話し合って築いてきた信頼関係がベースとなっている。

当初はフィールドアスレチックのターザンロープやスライダーと呼ばれるものと誤解されることが多く、どんなものかを伝えるのが難しかった。利用料金についても、有料でしかも大人一人3500円という料金に理解を示す人は多くなかった。ただしヨーロッパではすでに10年以上の実績があり、認知度とマーケットは広がっていた。日本に合わせるのではなく、できるだけフランスのスタイルのまま導入することにした。自分の安全は自分で守る!自然共生型!などなど。

パートナーであるアルタスから多くを学んだが、運営方法は日本で試行錯誤してつくったものだ。マーケティング、営業、オンライン予約システム、サービス内容、リスク管理などは全くゼロから作り上げたので、現在の形はなるべくしてなったものだと思う。

アウトドアパークのフランチャイズ?

施設が増えていくうちに自然と生み出されたものが、フランチャイズ制だった。フランチャイズのアウトドアパークという独特のビジネスモデルは世界でも聞いたことがない。ハーネスを着用して、樹上高くに登るこの施設は常に落下事故の可能性と隣り合わせで、一見非常に危険に見える。異業種の企業が新たに始める事業としてはリスクが高い。しかしながら施設から運営、教育、経営までのサポートがあれば参入のハードルは低くなる。1社で展開するには時間が非常にかかるが、フランチャイズ制をとることによりスピードは早まったはず。

日本に事例がないため、海外の事例を色々調べまわった。一つのブランド名で複数箇所、しかも数十カ所展開しているのは知る限りでは、FAとイギリスとアメリカのGOAPEというパークだけだと思う。GOAPEはFAより2年早くスタートしたが、全て直営展開で国有地を使える契約を獲得し、驚くようなスピードで成長した。GOAPEの設計施工部門を全て請け負っているのがアルタスだったためFAとGOAPEも情報共有している。

日本でも施設数に比例して認知度とマーケット規模はゆっくりとだが増えていった。2019年度末で、全国31施設の年間総利用者数は50万人以上になり、創業からの累計利用者数は300万人に達した。競合他社がどのくらいいるかは正確には把握することはできないが、おそらく年間利用者数100万人くらいのマーケットだと推測している。FAについても47都道府県全てにまでは到達していないので、各都道府県に一つというのを密かな目標として掲げている。

この事業に参加しているの事業者は、個人から森林組合、大中小企業、市町村など多岐に渡り、その考え方や慣習は全く同じではない。共通するのは、自分たちが持つ自然の資産を生かして、魅力ある場所をつくりビジネスにしたいという思いである。世間の見方が変わってきたのは、初めて地方自治体としてフォレストアドベンチャー・小菅(山梨県小菅村)がオープンしてからだろう。小菅村役場にはアドベンチャースピリッツを持つ方達が揃っていたということだろう。

人力でのコース設置

自然と共生できる施設

FAの最大の特徴は、自然の木を使うこと。森にしか設置できない施設で人を呼び、売上ができ、雇用が生まれ、利益が残る。その利益の一部を森林整備の財源とする。これが自然共生型施設のビジネスモデルである。既存の森林管理モデルだけではなく、別のモデルでもできることを証明しようという試みからスタートしてる。現在の森林の課題を見れば一定の効果が期待できる森林管理方法だと思う。

施設設計で重要な要素は各地域が持つ環境の特徴である。それぞれの森の良さを最大限アピールできる施設づくりを心がけてきた。例えば、富士山が見えるところでは富士山が見えるようなコースを作り、川や湖、谷があればその上を飛び越して渡る。植樹した森と里山では樹種や雰囲気が違うし、この投稿の最初に載せた竹林のコースは日本らしい雰囲気で、今でも非常に人気のスポットになっている。

フランス+日本

施工はほとんど人力で、ツリークライミングと高所作業技術と林業技術を掛け合わせた独自のスタイルで行う。地上10m以上の高所で、ロープにぶら下がりながら作業するビルダーの力は大きい。危険で難易度の高い作業だ。人力で作業することのメリットは設置場所の候補が広がること。高所作業車が入れない傾斜のきついような場所でも設置可能になる。

施設の安全性を確保するために多くの時間とコストを使ってきた。EUの安全基準に沿ったものにするため、設計から資材調達、施工、検査とアルタスと共同で進めている。10年以上の経験があるので、すでに自分達だけで設計施工は可能だが、外部の目がないと自分達に都合の良いように流れていく恐れがあるため、このパートナーシップはずっと必要だと考えている。自然の木を使うので、樹木の管理維持は重要で、森を健康に維持しないと継続できない。FAでは定期的に樹木医などの専門家の診断を受けて手入れを行なっている。

収支バランス良好

初期投資を低く、客単価を高く、運営費用を抑え、利益を上げる。何を当たり前のことを言うと叱られるかもしれないが、原則は大事にしたい。FAはいわゆる装置産業だが、他の事業と比較すると初期投資を抑えられる。平均客単価は3000円以上になる。一般的にこの客単価を獲得できる業種というと、ある程度大きな設備投資か人件費が必要となるはずだ。しかしながらFAの最小限の設置コストは4千万円程度である。初期投資はコースの規模や種類によって異なる。運営に関わる経費で一番多く占めるのは人件費。スタッフが最も大事な要素。過去に起きている事故のほとんどがヒューマンエラーが原因と見ている。いかに安全な施設で安全なマニュアルを用意しても、結局は誰が仕事するかで結果は大きく変わる。

この事業を始めてすぐに実感した。収支のバランスがとてもいいと。FAと言う名前を使わないところにも設計施工を提供してきたので、実際には40ヶ所近く作ってきたが、現時点では全て営業を存続できている。倒産したりしたところはまだない。最近は地震、噴火、台風、水害など災害による営業中止が多くなってきているが、持ちこたえている。

 

間伐材も使う。

”持続可能”といいたいし、たまに使っちゃったりする。しかしこの言葉には期間がついていないので使うのは躊躇する。3年持続可能とか10年持続可能とか、期間をつけるならいいと思うが、永久持続可能とは自信を持って言えない。類似施設、競合企業も増えてきたが、これはマーケットができたことの証であると捉えている。日本ではまだまだ認知度が浅く、各地には放置された森があり、拡大の可能性は十分にあると考えている。

このウェブサイトでフォレストアドベンチャーに興味を持った方がいたら、とりあえず問い合わせてみてください。その際に設置したい森のことを教えてください。広さはどのくらいか?地形はどうか?樹種は?太さは?などなどです。

フォレストアドベンチャーの公式サイトはこちら

最新(2020年4月現在)のフォレストアドベンチャーは愛媛県西条市でオープン予定。

https://youtu.be/zT2jFtuPTxU

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